RE100とは?概要から加盟企業の取り組みまで解説
「RE100」という言葉を見聞きしたことがある方は多いのではないでしょうか。RE100は企業に再生可能エネルギーの活用を促すための国際的なイニシアティブであり、気候変動対策が世界的な課題となる昨今注目を集めています。
本記事では、RE100の概要や各国の加盟状況、参加するメリットや日本企業の取り組みを解説します。
目次
RE100とは?概要と加盟状況
はじめに、RE100の概要や世界各国の加盟状況について解説します。
RE100とは何か?その意義とは
RE100とは「Renewable Energy 100%(再生可能エネルギー100%)」の略で、「企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことをめざす国際的なイニシアティブ※」(環境省)のことです。国際環境NPOのThe Climate Groupにより2014年に発足しました。
地球温暖化をはじめとする気候変動が世界的な課題となる中で、温室効果ガスを排出する化石燃料由来の発電は持続不可能になりつつあります。昨今は企業も温室効果ガス排出量の削減を強く求められており、その一環としてRE100に加盟する、または加盟を検討する企業が増えているのです。
RE100と似たものにEV100がありますが、これは脱炭素社会へ向けて電気自動車(EV)の使用や環境整備促進をめざす国際イニシアティブのことです。EV100に加盟する企業は、2030年を目処に利用車両を100%EV化することをめざします。
EV100の詳細については以下の記事をご覧ください。
RE100は企業が事業活動で使用する電力を対象とするのに対し、EV100は企業が利用する車両を対象としているという違いがあります。
世界・日本のRE100加盟企業の状況
2024年10月時点で、世界全体で433の企業がRE100に加盟しています※。
日本の加盟企業数は同時点で88社であり、アメリカ(94社)に次いで世界で2番目に多い数です。
日本では、イオン株式会社、ソニー株式会社、株式会社野村総合研究所、三菱地所株式会社、キリンホールディングス株式会社、株式会社資生堂、ソフトバンク株式会社などが代表的な参加企業です。
海外でもApple、BMW、Google、IKEA、ネスレなど、世界的な大企業が参加しています。
上記からわかるように、多種多様な業種・業界、かつグローバルな大企業が多く参加しています。
※出典:The Climate Group「RE100 Members」
RE100の参加条件
RE100に参加するためには、企業は下記の条件を満たす必要があります。
・年間消費電力が100GWh以上(日本企業は50GWh以上)
・自社事業で使用する電力の100%再エネ化に向け、期限付きの目標を設定し、公表する
・グループ全体で参加し、再エネ100%の実現にコミットする
グループ会社の場合、支配率50%以上の子会社はすべてRE100への参加が必須です。
ただし、上記の条件を満たしていても、化石燃料、航空、軍需産業、ギャンブル、たばこ、および主な収入源が発電関連事業の企業は参加できません。
RE100の達成条件
RE100の達成条件として、参加企業は遅くとも2050年までに、使用電力の100%を再生可能エネルギーで調達することをめざす必要があります。また中間目標として、2030年までに60%、2040年までに90%の達成が必須です。ただし、要件については見直しが行われており、今後改定される可能性があります。
なお、再エネの調達方法としては、自家発電の場合は自社が保有する設備での発電、購入の場合は「発電事業者との契約」「電力会社からの再エネ電力の購入」「再エネ電力証書の購入」「再エネ由来電力メニューを契約」といった方法が認められています。それぞれの調達方法には条件がありますので、詳しくはクライメート・グループのWebサイトをご確認ください。
RE100に参加するメリット
RE100に参加することで、企業は以下のメリットを得られます。
温室効果ガスの削減
RE100に参加し、100%再生可能エネルギーに切り替えることで、企業は大幅に温室効果ガスの排出を削減できます。これにより、自社の事業活動を通じて環境に与える負荷を大きく軽減し、気候変動対策に貢献することが可能です。
また、国の温室効果ガス削減目標の達成にも寄与します。
温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」については、以下の記事をご覧ください。
ブランド価値と企業の信頼性向上
昨今は環境への取り組みに敏感な消費者や投資家も増えており、「自然環境の破壊に加担している」「化石燃料由来のエネルギーを多く使っている」といったネガティブなイメージを持たれてしまうと、消費者や投資家からの評価が低下する可能性が高まっています。
RE100に参加することで、環境意識の高い消費者や投資家からの支持を得やすくなり、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として評価されます。環境面でのブランドイメージが向上することで、ESG投資の対象として注目を集め、投資を呼び込みやすくなることもメリットです。
化石燃料に関するリスクを低減
日本はエネルギーの大部分を石油や天然ガスなど化石燃料の輸入に頼っていますが、これらは国際的な地政学リスクの高まりや自然災害の影響などを受けて供給が不安定になり、価格が高騰することも珍しくありません。最悪の場合、輸入がストップし供給そのものが途絶える可能性もあります。
再生可能エネルギーにシフトすることで、こうした化石燃料の価格高騰や供給途絶のリスクを低減でき、ビジネスにおける不確実性を抑えることが可能です。
RE100における日本企業の取り組み
以下では、RE100に加盟している日本企業の取り組みを4つご紹介します。
大手光学機器メーカー
大手光学機器メーカーでは、国内再エネ率向上と質の確保に向けて独自の再エネ電力総合評価制度を導入し、再生可能エネルギー使用率の2030年度目標を30%から50%に引き上げました。
この制度は、価格のみならず、新規の開発を促進する電源であることや、環境負荷がより低いこと、地域社会が出資する発電所であることなどを総合的に評価するものです。国内で再エネ電力を調達することが決定した拠点では、この制度を用いて電力の調達先を選定しています。
大手通信販売会社
大手通信販売会社では、100%再生可能エネルギーの電力を提供している企業と、非FIT再エネ電源とグリーン電力証書など再エネ属性証書を活用した、100%自然エネルギーの電力プランを契約しています。これにより、グループ全体での電力使用量のうち34%の切り替えを達成しました。
今後も、本社や物流センターへの導入を進めていく予定です。
大手住宅メーカー
大手住宅メーカーでは、卒FIT(FIT制度の適用期間が終了すること)を迎えたオーナーから太陽光発電の余剰電力を買い取り、グループの事業活動で活用すると同時に、2040年のRE100達成をめざす取り組みを進めています。
この取り組みはオーナーの買取価格低下への不安を解消して満足度向上を図ることと、自社グループの事業活動の脱炭素化を両立させることを目的としたものです。
大手総合電機メーカー
大手総合電機メーカーでは、純水素型燃料電池と太陽電池を組み合わせた自家発電により、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う実証施設を稼働しています。
この実証を通じて、純水素型燃料電池の運用をはじめとするノウハウ・データの蓄積と実績構築を図り、自家発電により事業活動に必要な再エネ電力を賄うソリューションの事業化をめざしています。
RE100への加盟を含め環境への取り組みを行おう
ご紹介したように、RE100に加盟することで環境対策に貢献できることはもちろん、自社ブランドの価値向上や化石燃料の価格高騰リスクへの対処というメリットを得られます。こうした点から加盟する価値についてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
RE100の対応にはエネットのEnneGreen(エネグリーン)も有効です。
EnneGreen(エネグリーン)は、電気と非化石証書の組み合わせで、お客さまの再生可能エネルギー導入や温室効果ガス排出量削減を支援するサービスです。RE100に参加して脱炭素社会に貢献したいというニーズに応えた「EnneGreen RE100」をはじめ、環境への取り組みや目的にあわせて4つのメニューを用意しています。
また、企業が取り組むべき環境問題への対策としては社用車/公用車のEV化も重要です。EVであれば走行時の温室効果ガス排出を削減でき、充電時の電力を再生可能エネルギーにすることでさらなる排出量削減に貢献します。
社用車/公用車のEV化にご興味のある方はこちらの資料をご覧ください。
社用車EV導入 ガイドブック
本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。