電力のピークシフトとは?ピークカットとの違い、EV充電におけるメリットについて解説

EV充電のポイント
電力のピークシフトとは?ピークカットとの違い、EV充電におけるメリットについて解説

電力消費が多い時間帯から少ない時間帯に電気使用量の一部を移行することを「ピークシフト」といいます。EV(電気自動車)の充電を自動でピークシフトし、コストを抑制する方法があることをご存知でしょうか。
本記事では、ピークシフトとピークカットの違いや、EV充電におけるピークシフトのメリットなどを解説します。

目次

ピークシフトとは?

ピークシフトとは?

ピークシフトとは、電力消費が多い時間帯(ピーク時)の電気使用量を、電力消費の少ない時間帯に分散させることです。

ピークシフトを実施する場合としない場合とでは、1日の電気使用量は変わりません。しかし、特定の時間帯に電力消費が集中することを避けることができるため、コスト増の主要因となる契約電力の増大や電力設備の増強を回避することができます。

また、ピークシフトは、社会全体で特定の時間帯における電力の供給力が不足した場合の解決策としても有効です。

ピークシフトは一見簡単そうですが、例えば企業で空調や照明、機械などの稼働時間をずらすことはなかなかできません。ピーク時に工場の機械を停止し、代わりに深夜に稼働させるといった運用を全ての企業が実施できる訳ではありません。

しかし、EV(電気自動車)の充電については、ピークシフトを実施することが可能です。後ほど紹介する「充電制御」を行うことで、電力消費の多い時間帯に複数台の車両が一斉に充電することを避け、夜間などの電力消費が少ない時間帯に充電するといった運用が実現できます。

EV充電でピークシフトを導入すると、さまざまなメリットが期待できます。ピーク時の過度な電力使用を回避できるため、設備増強が不要となったり、電気料金が軽減されたりする効果が見込めます。

ピークカットとの違いは電力の「総使用量」

ピークシフトと類似した概念に「ピークカット」があります。ピークカットとは、電力を最も多く使う時間帯(平日の日中など)における電気使用量の一部を、さまざまな手段を用いて使わないようにすること(カットすること)、若しくは発電機や蓄電池などで補うことです。ピーク時の使用電力量を低減させるため、電気料金における基本料金を抑制できます。

ピークカットとピークシフトの違いは、「電気使用量の総量を削減するかどうか」です。

ピークカットは電力消費がピークとなる時間帯に使用量を削減することで、電気使用量の総量を削減します。ピークカットを実現する為には電力消費が増大する夏季や冬季を通じて運用を見直す必要があります。また、デマンドコントローラーや蓄電池などを導入しピークカットを実現することも可能ですが初期投資を伴います。一方で、ピークシフトは電気使用量の一部をピーク時から他の時間帯に移動させる手法であるため、電気は後で使うことができ、トータルの電気使用量を減らす必要はありません。EVの充電など、用途によっては比較的容易に取り組むことが可能です。

EV充電においてピークシフトを実施するメリット

企業や社会にとって有益なピークシフトですが、EV(電気自動車)の充電にピークシフトを導入すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

以下では、企業・自治体における2つの大きなメリットについて説明します。

メリット①:電気料金の増加を抑制できる

まず、EV充電にピークシフトを導入すると、電気料金における「基本料金の増加」を抑制できます。

電気の基本料金は通常、過去12カ月における最大需要電力(kW)をもとに算定されます。ピークシフトにおいては1日の中での電気使用量を分散させることで最大需要電力を低減し、基本料金の増大を回避することができます。

具体的には、ピークシフトで充電のタイミングを夜間に移行したり、個々のEVごとに充電開始時間をずらしたりします。企業・自治体の社用車/公用車は平日日中に稼働するケースがほとんどです。そのため、充電の時間帯が平日の夕方に集中する傾向があります。

しかし、EVの充電は必ずしも夕方に行う必要はないため、充電時間を調整することで、電気料金の増加を抑えられます。

メリット②:電力設備の増強コストが低減できる

特定の時間帯にEVの充電が集中すると電力消費が一時的に急増します。既存の電力設備の容量や性能を超える場合では対応できない場合があり、設備を増設したり、より多くの電力負荷に対応できるように受電電圧を高圧に変更する必要性があります。

設備の増設については、規模によっても異なりますが、一般的には100万円から500万円ほどの費用がかかるとされているため、大幅なコスト増となってしまいます。

しかし、EVの充電をピークシフトすることで、設備の容量不足などを回避でき、設備増強にかかるコストを抑制することができます。

ここまで、企業・自治体がEV充電をピークシフトする2つのメリットをご紹介しましたが、EV充電のピークシフトは社会全体で電力の供給力が不足した場合の解決策としても有効です。ピークシフトを行うことで過大な発電設備や送配電設備の増設を防ぐことができ、社会全体のインフラコストを抑制することができます。

EV導入における課題については、以下の記事で紹介しております。

EV充電のピークシフトは可能か?

EV(電気自動車)の充電でピークシフトを実践するメリットについてご説明しましたが、以下のような疑問を持つ方もいるかもしれません。

疑問①:「夜間に充電するには、夜になるのを待ってから充電ケーブルを接続することになり面倒では?充電を忘れて帰ってしまうこともありそうで心配だ。」

疑問②:「夜間に充電したとしても、EVの台数が多くなれば夜間に充電が集中することで結局、電力設備の容量を超えてしまうのでは?」

以降では、これらの疑問を解消し、効率的にピークシフトを導入する手段として、企業向けスマート充電サービス「EnneEV (エネーブ)」をご紹介します。

EV充電のピークシフトを実現する企業・自治体向けスマート充電サービス

企業向けスマート充電サービス「EnneEV (エネーブ)」

「EnneEV(エネーブ)」は、EV充電器の導入と遠隔制御(充電制御)により、EVの導入コストや運用コストを抑制する企業・自治体向けスマート充電サービスです。EVの充電タイミングを最適化することで、遠隔でピークシフトを実現し、お客様の電気料金を抑制します。

充電制御の特長とメリット

お客様のニーズやEVの運用実態にあわせた低コストな導入計画を提案し、工事から運用までをワンストップで対応可能です。

EnneEV(エネーブ)を導入することで、上記の疑問も解消できます。

疑問①:「夜間に充電するには、夜になるのを待ってから充電ケーブルを接続することになり面倒では?充電を忘れて帰ってしまうこともありそうで心配だ。」

回答:充電ケーブルを接続してもすぐに充電を開始せず、夜間に自動的に充電を開始するようなスケジュール設定が可能です。そのため、夜まで待ってケーブルを接続する必要がありません。業務終了後に会社に帰ってきたら、すぐに充電ケーブルを接続してお帰りいただけます。

「それってEV側でもタイマー充電で実現できますよね?」と思った方、次の疑問もご覧ください。

疑問②:「夜間に充電したとしても、EVの台数が多くなれば夜間に充電が集中することで結局、電力設備の容量を超えてしまうのでは?」

回答:現状では、EV側でタイマー充電はできても、設備容量に合わせて複数の充電器の出力を調整することは不可能です。EnneEV(エネーブ)では、EVの台数が増えても複数の充電器を出力制御し許容範囲に収まるよう調整することが可能です。

さらに、接続されている充電器の台数と制約条件に応じて出力を自動的に調整し、最短で充電を完了するための最適な出力指示を行うことも可能です。導入台数が多い場合にはスケジュールを固定して充電するよりも効率的な運用が可能です。

以下の資料では、充電制御あり/なしのコスト比較やEnneEVのサービスについてご紹介しています。EV充電器を選び際に押さえておくべきポイントもわかりますので、ぜひご覧ください。

ピークシフトの実践で効率的なEVの導入を実現しよう

ピークシフトは、電気使用量の一部を電力消費が多い時間帯から少ない時間帯へ移行することをさし、ピークカットは、ピーク時間帯の電気使用量を削減する(電気を使わない)か、発電機などで補うことです。電気の使用用途によっては、ピークカットよりもピークシフトの方が無理なく実践しやすい方法と言えます。

特に社用車としてのEVの充電においては、必ずしもピーク時間帯に充電する必要がないため、充電制御を活用したピークシフトは実践しやすく、無理なく電気料金や設備増強コストを抑制可能です。

EVの導入時に不要なコストを発生させないためには、電気料金や電力設備に関する正しい理解と適切なEVの導入方法を把握する必要があります。

今回ご紹介した充電のピークシフトをはじめ、EV導入時のポイントや全体の流れについては、以下の資料で網羅的に解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

社用車EV導入ガイドブック_画像1

社用車EV導入 ガイドブック

本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。

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