EV(電気自動車)の電欠とは?発生時の対処方法と事前の対策

EVの基礎知識
EV(電気自動車)の電欠とは?発生時の対処方法と事前の対策

EVのバッテリー残量がゼロになり、走行できなくなることを「電欠」と言います。電欠を起こしてしまうとロードサービスを呼ばなければなりませんが、適切なドライブ計画を立てるなど、しっかりとした対策をとれば基本的に電欠の心配はありません。本記事では、EVにおける電欠の発生時の対処法や電欠を防ぐために必要な対策などを解説します。

目次

EVにおける「電欠」のトラブル

EVは徐々にポピュラーな交通手段になりつつあります。環境面への負荷が小さく、ガソリン車と比較するとランニングコストが低いなどのメリットがあるEVですが、EVならではのトラブルである「電欠」を心配している方も多いのではないでしょうか。以下ではまず、電欠の基礎知識について説明します。

電欠とは?

EVの電欠とは、バッテリーの残量が尽きてEVが走行できなくなる状態のことです。ガソリン車でいう「ガス欠」にあたります。

EVのバッテリーには「駆動用」と「補機用」の2種類があります。駆動用はEVを走行させるのに必要な電力を供給するバッテリー、補機用はライトの点灯やパワーウインドウの開閉などに必要な電力を供給するバッテリーです。駆動用バッテリーが電欠になっても、補機用バッテリーの残量があればヘッドライトやナビなどのアクセサリ類は動かすことができます。

EVの電欠のサイン

駆動用バッテリー残量が一定の低さ(通常は20%以下)になると、ダッシュボードに警告灯や警告メッセージが表示されます。車種によっては、音声アラートやスマホのアプリを通じて通知が送られることもあります。
その状態で走行を続け、さらにバッテリー残量が非常に少なくなると、車両はパワーリミット(出力制限)モードに入り、加速性能が制限されます。パワーリミットモードへ移行する前に、バッテリーの充電をすることを推奨します。

適切なドライブ計画を立てれば電欠の心配はない

電欠になると完全に立ち往生してしまうため、ドライバーにとっては絶対に避けたいところですが、適切なドライブ計画を立てれば電欠の心配はありません。

JAFが公表しているデータによると、下記の通りEV全体の救援件数は増加傾向であるのに対し、電欠の占める割合は減少傾向にあります。

・EVのロードサービス件数と電欠の件数、および構成比

年度EVロードサービス(件数)電欠件数(件数)電欠構成比(%)
20163,54763117.8
20174,19471217.0
20184,74572715.3
20195,49974013.5
20205,8045739.9

出典:一般社団法人日本自動車連盟 「JAFロードサービスからみた電動車の対応について」(2021年4月16日)

また、EV(電気自動車)の航続距離は120km(軽タイプ)から500km前後であり、日常的に社用車や公用車として使用する分には十分な航続距離です。

EV(電気自動車)の航続距離についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

さらに、EV(電気自動車)の普及に伴い充電スポット数は増加しており、こまめな充電が可能となっています。
政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置することを掲げており、今後充電環境はさらに改善されることも期待されます。
このように、充電インフラの普及にともない、電欠のリスクは減ってきているのです。

とはいえ、電欠は全く起きないわけではありません。次章では、出先で電欠が起こってしまった場合の対処法をご紹介します。

電欠が起こってしまったときの対処法

万が一電欠が発生してしまった場合には、安全な場所に移動したうえでロードサービスを呼ぶ必要があります。

安全な場所に移動する

まず、車両をできるだけ安全な場所に移動させることが最優先です。交通の妨げにならない場所に停車するよう努めましょう。可能であれば、広い路肩や駐車エリアなどに車両を移動させると安全です。

次に、ハザードランプを点灯させ、周囲の車両や歩行者に注意を促します。ハザードランプは、自動車が故障や緊急事態にあることを知らせる重要なサインです。これにより、他のドライバーに状況を知らせ、安全を確保することができます。

ロードサービスを呼ぶ

EVの普及に伴い、電欠に対応するためのロードサービスも充実してきています。多くのメーカーや日本自動車連盟(JAF)などが提供するこれらのロードサービスを利用することで、充電が可能な場所までレッカー移動してもらうか、その場で充電してもらうことができます。

また、どうしても電欠が不安な場合には、ポータブル充電器を車両に積載しておくと便利です。このポータブル充電器を使えば、一時的に充電を行うことができ、次の充電ステーションまで移動するための電力を確保することが可能です。

ただし、上記はあくまでも緊急時の対応であり、電欠を起こさないよう事前の備えをしっかりと行っておくことが重要です。

電欠を防ぐためにすべき対策

電欠を防ぐためにすべき対策

ガソリン車と同じく、EVも正しく使用すれば電欠が発生することはほぼありません。以下では、電欠を起こさないために行うべきことをご紹介します。

航続距離を把握する

普段運転しているEVの航続距離を正確に把握し、日常の走行距離を考慮して余裕を持って充電することが大切です。
「このくらいバッテリー残量があればまだ大丈夫」というような油断は禁物です。ガソリン車と同じく、充電量が少なければなるべく早めに充電する習慣をつけましょう。

充電ステーションの場所を把握する

電欠を未然に防ぐために、長距離を走行する場合はルート上の充電ステーションの場所を把握しておくことも重要です。
出先でもすぐに充電できる急速充電器の多くは、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅、商業施設、コンビニ、カーディーラーなどに設置されています。
また、充電スポットが検索できるナビやアプリを活用すれば、マップ上に自動車位置が示され、周囲の充電スポットをすぐに探すことができるため便利です。
日常の走行においても、すぐに立ち寄れる充電ステーションの位置を数か所把握しておくと良いでしょう。

エコドライブを心がける

ガソリン車と同様に、EVでもエコドライブを心がけることでバッテリーの消費を抑えることができます。急加速・急ブレーキ・急発進を避け、さらに車間距離を十分に保って加速・減速を頻繁に行わないなど、スムーズな運転を意識することが大切です。

ムダなエアコンの使用を控えたり、適切な温度設定を意識したりすることも効果的です。

夜間充電を活用する

ガソリン車と異なり、EVは使用していない夜間に会社の駐車場で充電することが可能です。出先から帰社後に充電を行えば、毎日フル充電の状態にしておくことができるため、電欠の心配は少なくなります。

この夜間充電を習慣にすることで、翌日の走行に備えてバッテリーを常に最適な状態に保つことができるため、充電切れのリスクを大幅に減らすことができます。

計画的な充電管理を行うことで、安心してEVを活用し、効率的な運用を実現しましょう。

夜間充電を活用して安心なEV運用を

ガソリン車のガス欠と同様に、EVも電欠が発生すると走行できなくなってしまいますが、航続距離や充電スポットの位置を把握したり、夜間充電を徹底したりすることで電欠のリスクを抑えることができます。

「EnneEV(エネーブ)」は、EV充電器の導入と遠隔制御により電気料金の上昇を抑制するEVスマート充電サービスです。

お客さまの電気の使用パターンや設備の規模にあった最適な導入設計を提案し、社用車を使わない時間帯に計画的に充電ができるため、充電のタイミングを気にする必要はありません。夜間充電を活用することで、日中に電欠が起こるリスクも低減できます。

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