NTTグループのEV化率100%実現に向けて『EnneEV®(エネーブ)』の導入を推進。スマート充電によりコスト抑制を実現

企業インタビュー
NTTグループのEV化率100%実現に向けて『EnneEV®(エネーブ)』の導入を推進。スマート充電によりコスト抑制を実現

NTTグループ内で、発電から調達、調整、小売までの「エネルギー流通ビジネス」を担うNTTアノードエナジー様。カーボンニュートラル実現に向けてNTTグループ内の社用車を100%EV化するという目標を達成するため、エネットのスマート充電サービス『EnneEV®』を活用しNTTグループ各社のEV化を推進してきました。

今回は、同社エネルギー流通ビジネス本部の柳原様から、『EnneEV®』の活用・導入時の課題と解決のための工夫、導入後の効果などをお伺いしました。

目次

カーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー流通ビジネスを展開

NTTグループのEV化率100%実現に向けて『EnneEV®(エネーブ)』の導入を推進。スマート充電によりコスト抑制を実現(写真左)NTTアノードエナジー株式会社 エネルギー流通ビジネス本部 電源調達・需給調整部 担当課長 柳原 孝俊 様
(写真右)株式会社エネット 事業開発室 担当部長 遠藤 良樹

――まずは事業概要と自己紹介をお願いします。

NTTアノードエナジー株式会社 柳原 孝俊 様(以下、柳原)弊社は、NTTグループのアセットを活用したエネルギー事業を推進するために2019年に設立した若い会社です。発電、調達、調整、小売までのバリューチェーンを一気通貫でつなぎ、4つのバリューを効率的に運営する「エネルギー流通ビジネス」を展開しています。再生可能エネルギーが今後さらに増えていくことを見越して、蓄電池、デマンドレスポンス、EMS(エネルギーマネジメントシステム)を活用して需給バランスを調整し、カーボンニュートラルの実現をめざしています。

 私は現在、エネルギー流通ビジネス本部の電源調達・需給調整部に所属しています。エネットとは同じNTTグループの一員として、小売事業の分野で協業しており、現在、エネットと互いに協力し合いながら、『EnneEV®(エネーブ)』を活用し、NTTグループ向けにスマート充電サービスの提供を進めているところです。最近では導入が進んできたEVの蓄電池に加え、太陽光や家庭用蓄電池など需要家サイドのエネルギーリソースを使った需要アグリゲーションビジネスの開発・提供に軸足を移しています。

カーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー流通ビジネスを展開

NTTグループ全体でEV化率100%実現をめざし、エネットと共に『EnneEV®』の活用・導入を推進

――NTTグループが進めているEV100についてお伺いします。はじめに、EV100の取組内容について教えてください。

柳原EV100とは、輸送手段の100%EV化を目指す国際的なイニシアティブのことであり、2018年の10月にNTT持株会社が加盟したところから始まっています。それに基づき、カーボンニュートラルの実現をめざしてNTTグループ各会社が保有する約11,000台のガソリン車(一般車両)を、2030年までに100%EV化していくことになりました。このような流れの中で、EV化を進めるNTTグループ各社と連携し、我々はエネットとともに、NTTビルでのEV充電インフラの導入を推進する役割を担うことでNTTグループのEV100に貢献しています。

――NTTグループは日本企業の中でいち早くEV100に加盟しましたが、その社会的意義はどのようなところにあるのでしょうか?

柳原EV充電サービスの提供を始めて4年ほど経つのですが、多くのガソリン車を保有する企業において、NTTグループほど積極的にEV化に取り組んでいる事例はまだ多くはありません。そうした中で、NTTグループがいち早く、かつ大規模にEV化を進めることで社会や他企業に大きなインパクトを与えられると思いますし、それにより脱炭素・カーボンニュートラルの取り組みが一層進む契機になれば良いと考えました。

株式会社エネット 遠藤 良樹(以下、遠藤)一般の法人ユーザー様からはEVそのものに対する不安に加え、充電のことや電気代に関し多くの不安を聞きます。我々が率先してEV化に取り組むことで、そうした課題や不安を解消するヒントを提供できればと思います。

――NTTグループがEV化を進めていた当初は、『EnneEV®』のような充電制御(スマート充電)システムを導入していなかったそうですが、当時はどのような課題がありましたか?

柳原当時はスマート充電という言葉は一般的ではなかったですし、1拠点で多くのEV(拠点によっては数十台の車両を保有)や充電器を運用する際の課題、スマート充電機能を活用した際の効果についてあまり理解が進んでいませんでした。そのような状況の中で、充電器をはじめとする電力設備の構築コストが多くかかる課題や、社用車の利用特性として昼間は乗車利用し、夕方帰社時に一斉充電することから電力コストが増大する課題が顕在化しました。また、サービス開始当初は電力をビル側から供給してもらう形(ビル受電方式)だったのですが、ビル内の電力設備に手を加えなければならず、多くのコストがかかることが分かってきました。そこで、ビル側からではなく、新たに低圧電力を引き込む別受電方式を積極的に採用するとともに、低圧の設備容量で多くの充電器を運用するためにスマート充電が可能な『EnneEV®』を導入しピークシフトすることで、設備構築費と電気代を下げていくことをめざしました。

『EnneEV®』の必要性をNTTグループ各社に粘り強く説得。徐々に導入実績を増やしていく

――『EnneEV®』の導入時に苦労したことやその解決方法、工夫したことなどがありましたら教えてください。

柳原当初は、『EnneEV®』の必要性について社内外でなかなか理解を得られないことに課題を感じていました。NTTグループはEV化する台数も多いため、なるべく早い段階でスマート充電システムを導入していかないと、電気代や電力設備構築費といったコストが大きく上がってしまうことは避けられない状況でした。そこで、社内外の理解を得るために、遠藤さんやグループ各社の総務や車両を管理している部門の代表者と、何度も議論を重ねていきました。

遠藤スマート充電サービスを運用することが我々にとっても初めてのことだったので、大きなチャレンジでした。開始当初は充電器毎に充電出力と充電スケジュールを手動設定する運用から始めていました。遠隔で充電出力と充電スケジュールを設定できるだけでも大きな進歩ですが、台数が増えてくると運用効率が悪くなり、手動設定が困難になるため、アノードエナジー様と議論を重ね、現場の充電器を使った実証実験も行い、充電出力や充電スケジュールの自動運用を実現し、現在では数十台の充電器を効率的に運用している拠点も出てきております。

柳原またEnneEV®は、全国に設置した充電器を遠隔から一括監視することができ、充電器の故障発生を検知することで、速やかな故障対応に繋がることも理解を得る一助となりました。特に昨今の台風や地震等の甚大な自然災害発生時に通信設備を守っているNTTグループ各社のEV車両の電源確保は重要であり、今後EV化が進展すると充電器故障時の速やかな復旧が更に重要になってくると考えております。

『EnneEV®』の必要性をNTTグループ各社に粘り強く説得。徐々に導入実績を増やしていく

――NTTグループ内でどのように『EnneEV®』の導入を進めていきましたか?その際に工夫したこともありましたら教えてください。

柳原グループ内での導入の順序としては、まずはEV化対象車両数の多いNTT東日本グループ、NTT西日本グループから導入を進め、そこでの導入実績やノウハウを生かし他のグループ各社にも広げていきました。NTTグループ会社によっては、既に自社で急速充電器を導入しており、EVの台数増加に伴い、普通充電器の導入も自社で進めようとしている例もありました。しかし、NTTグループ全体の構築・運用の効率を考えると弊社でスマート充電サービスを一括提供した方が良いことを提案し、導入実績もお見せしたことで納得していただけました。このように、各社にメリットや実績を粘り強く説明することで納得頂き少しずつ導入を拡大していきました。

 また、EV100にコミットしていく経営方針はあっても、NTTビルには様々なグループ会社が入居しており、EV化への意識・考え方は千差万別であり、またビル毎に充電器設置環境も異なるため、グループ各社がバラバラに進めても非効率になってしまいます。そこで、当社がグループ各社の設置要望の取り纏め~構築~サービス提供までの業務フローを標準化し、同一のサービスモデルでNTTグループ各社に一括提供すること、円滑な充電インフラ推進に繋がったと考えています。

――全体の仕組みとして、具体的にどのような業務フローを確立していったのでしょうか?

柳原まずは、「ビル毎に入居するグループ各社に対して充電器が何基必要か」といった要望をお聞きし、それに基づいて、導入コンサル、設置工事を行います。工事後は、利用者とのサービス申込契約、エネットにスマート充電の設定を依頼し、サービス提供が開始します。また、サービス提供後に発生する様々なイベント(充電器故障、サービス解約・休止など)を想定し、保守サービスが必要です。設置ビル毎の工事会社との契約や、充電器メーカ、充電サービスのエネット等多くの会社が関わりますので、どこの会社に何を委託するかも含めて試行錯誤しながら、ゼロから運営体制・業務フローを作り上げました。

――導入コンサルから設置工事までの一連のフローが完了するまでには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?

柳原オフィスビル等への充電器設置のみであれば、早ければ2~3か月ほどで設置完了するのですが、NTTグループのビルには通信設備があるため、事前調査に時間がかかるうえ、当該ビルに入居するNTTグループ各社が保有するEV化対象車両が駐車場内で点在することもあり、充電器設置場所を1か所にまとめるための各社との調整も必要となり、導入コンサルだけで約3~4か月かかるケースもありますので、設置完了まで5~7ヶ月を要します。

『EnneEV®』の必要性をNTTグループ各社に粘り強く説得。徐々に導入実績を増やしていく②

充電制御によりコストを抑制。クリーンなエネルギーでEVを動かせるように

――『EnneEV®』の導入によってどのような効果がありましたか。

柳原現在、低圧別受電方式の拠点が約8割を占めているのですが、低圧の場合50kWという契約容量の上限があります。数十台のEVを導入し、同時充電をそのまま許容するとなると、50kWの上限を超えてしまうことから低圧契約では提供困難です。キュービクルの設置(高圧設備化)が必要になり、電気主任技術者も配置しなければならず、多額のコストがかかってしまうのです。

『EnneEV®』のスマート充電により、50kWという上限を超過しないように充電制御できるため、大きなコスト抑制効果が生まれています。

 また、従来型の充電器を設置して充電制御しようとすると、現地にエッジ端末の設置やエッジ端末と充電器間の通信線を配線しなければならず、設備コストが多くかかるのですが、『EnneEV®』なら充電器とクラウドシステムが無線で1対1の直接通信ができるため、そうした設備面でのコストがかからなくなります。

 コスト以外の効果として、現在『EnneEV®』を導入している低圧別受電方式の拠点ではエネットが電力供給しており、更に『EnneGreen®』を導入しています。『EnneGreen®』は再生可能エネルギーをはじめとする実質CO2フリーの電気になるので、クリーンなエネルギーでEVを運用するグリーンモビリティを実現しています。

――EV100や『EnneEV®』のサービスなどについて、今後の展望があれば教えてください。

柳原現在、再生可能エネルギーの導入が進み、再エネ出力抑制するエリア、時間帯が増加しており、クリーンなエネルギーが捨てられております。今後は不安定な再生可能エネルギーの発電状況に合わせて電力需要シフトするデマンドレスポンスの重要性がより高まってくると考えられ、EV100における充電需要だけでなく、様々な需要家のエネルギーリソースのデマンドレスポンスを通じた再生可能エネルギーの最大活用に取り組み、エネルギー流通ビジネスを推進していきたいと思っています。

EnneEV(エネーブ)サービス資料_1

スマート充電サービス『EnneEV®(エネーブ)』サービス資料

スマート充電サービス『EnneEV®(エネーブ)』のサービス資料です。充電制御により充電電力を 契約電力内にコントロールすることで、電気料金の上昇を抑制。企業の社用車EV導入をご支援します。

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