EVシフトを進めると電力が不足する?「充電制御」による解決策

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EVシフトを進めると電力が不足する?「充電制御」による解決策

カーボンニュートラル実現に向けてEVシフトを進める動きが活発になっていますが、多くのEV(電気自動車)が同じ時間帯に充電すると、将来的に電力不足に陥ることが懸念されています。
本記事では、それを解決しうる「充電制御」について解説します。

目次

EV(電気自動車)の普及で懸念される日本の電力不足

世界的にカーボンニュートラル達成に向けた取り組みが進む中、日本政府も2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しています。
達成に向けた政府の取り組みの一環として「自動車の電動化」が推進されており、具体的には以下のような目標が設定されています。

<政府の自動車電動化目標|抜粋>
・乗用車は2035年までに新車販売で電動車100%を実現
・商用車(小型車)は2040年までに電動車・脱炭素燃料車100%

※EV、FCV、PHV、HVを含む
参考:経済産業省「自動車・蓄電池産業」グリーン成長戦略

こうした中で懸念されているのが、EVの普及に伴う電力の不足です。昨今の日本では、電力需要の多い真夏や真冬、平日昼間のピーク時に電力不足に陥りやすくなっています。近年は家庭や企業に節電が要請される機会も珍しくなく、「電力需給ひっ迫注意報」が発令されるケースも見られます。
そのような状況でEV(電気自動車)が普及すると、電力需給がさらにひっ迫するのではないかと危惧されているのです。

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それでは、日本ではなぜ電力需給がひっ迫しやすくなっているのでしょうか。また、自動車のEVシフト(電気自動車への転換)が進むことで、実際に電力需要にどれほどの影響があるのでしょうか。次章では、これらについて解説します。

EV(電気自動車)充電で注意すべきは「電力需要のピーク時」

電力需給ひっ迫注意報の背後にある日本の電力供給体制

「電力需給ひっ迫注意報」が発令される背景には、日本特有の電力事情が関係しています。
日本は現在、電力供給の約7割を火力発電に依存していますが、老朽化した火力発電所の廃止が進んでいるため供給力が少なくなっています。再生可能エネルギーの普及も推進されていますが、電力の主力供給力としての稼働はまだ難しい状況です。

今後日本全体の電力需要が減少する予測もありますが、EVの充電には多くの電力を要するため、電力不足の渦中にEVを充電すると電力不足に陥ることは当然のことだといえます。

社用車/公用車のEV(電気自動車)の充電で必要な供給力は、原発●基分?!

では、実際に日本でEVシフトが進んだ場合にはどれほどの電力が必要になるのでしょうか。以下で試算していきます。

一般財団法人自動車検査登録情報協会の統計によると、2023年12月末現在、日本国内の乗用車の保有台数は約6,232万台です。このうち10%(623万台)を社用車/公用車と仮定します。

※出典:(一社)自動車検査登録情報協会「令和6年1月末現在|車種別(詳細)保有台数表」

日本政府の目標である「2035年までに新車販売で電動車100%」を前提とし、2035年以降に623万台の約半分である310万台がEVに変わったと仮定した場合、電力需要のピーク時にこれらの車両が一斉に充電したらどうなるでしょうか?

単純計算ですが、すべての社用車/公用車EVが6kWの普通充電器を利用する場合、必要な電力は、6kW×3,100,000=18,600,000kW(1,860万kW)となります。
この1,860万kWというのは、原発1基が100万kWと言われているため、原発18~19基分の規模になります。もちろん、すべての車両が同時刻に充電するという仮説はあまり現実的ではないですが、仮にその半分であっても原発9基分の規模です。ちなみにこの試算には個人所有のEVや公共用急速充電器などの分は含まれておりません。

このように、社用車/公用車のEV導入が進んだ場合だけを見ても、これほど大きな電力需要がピーク時に集中する恐れがあります。したがって、社用車/公用車のEV導入を進める際はピーク時の充電を避け、電力需要が供給力を上回る事態を防ぐ必要があります。

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しかし、その時々の電力需要に合わせて人手でEV充電をコントロールすることは現実的ではありません。そこで活用したい解決策が、次章でご紹介する充電器の「充電制御」です。

EV(電気自動車)による電力不足は「充電制御」で対策できる!

充電制御とは、EV(電気自動車)の充電開始/停止タイミングや充電出力を、遠隔でコントロールできる機能のことです。これにより電力需要のピーク時の充電を避けることが可能です。また、複数台の車両を充電する際に、1台あたりの充電出力を抑えて全体の需要を抑えることもできます。
したがって、1日を通して電力需要が最も低い時間帯で充電することで、EV普及で懸念される電力不足の回避に貢献できます。

企業や自治体が保有するEV車両の大半は平日昼間に利用され、充電タイミングが夕方に集中する傾向があります。これは、EVはガソリン車と異なり、自社拠点で充電することが可能であり、帰社直後に充電器を挿しておくといった運用になるためです。

そこで充電制御を活用すると、電力需要が少ない夜間にEVの充電時間を自動でずらすことができます。これを「スマート充電」と呼んだりします。
スマート充電を活用しないと、帰社直後に充電ケーブルを挿入せず、夜間に手動で充電ケーブルを挿さなくてはなりません。また、EVを複数台導入する企業や自治体では、充電制御により契約電力の増大も回避できます。

電力需要のピークをずらすことを「ピークシフト」と呼びます。ピークシフトの詳細は、以下の記事で解説しています。
電力のピークシフトとは?ピークカットとの違い、EV充電におけるメリット・デメリットについて解説

また、EVの充電時間について気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
EV(電気自動車)の充電時間はどれくらい?車種別の目安・計算方法・充電時のポイントもご紹介

さらには、充電制御はピークシフトだけではなく、電流値の出力制御も可能です。出力制御では予め決められた範囲内に出力を抑えるように制御することができます。
EVの導入台数分に応じて6kWで充電すると、上記試算の通り、原発18基分が必要になってしまいますが、充電制御、とりわけ出力制御を活用すれば、6kWよりも小さな値で充電することができます。

企業や自治体の車両は日々の走行距離がさほど長くないため、充電時間は比較的短時間で済むことが一般的です。よって、充電器の出力を下げ充電時間を延ばしたとしても夜間時間で満充電になれば問題はありません。

企業や自治体でのEV(電気自動車)の充電は、①充電時間が集中すること、②1日に必要な充電量は決して多くないこと、といった特徴があります。その特徴を踏まえると、夜間にピークシフトしつつ、出力も抑える、という対応が可能となります。
充電制御が普及すれば、社会全体の電力需給ひっ迫や、需給ひっ迫対策のためのインフラ増強といった社会的コストも抑制できるのです。

以下の資料では充電制御のメリットや活用イメージについて解説しております。あわせてご覧ください。

充電制御の活用でEV(電気自動車)の充電を効率的に行おう

EV(電気自動車)の普及による電力不足が懸念されていますが、ご紹介した充電制御を活用することで問題を解決することができます。
企業や自治体の拠点単位では、過度な設備投資を抑えることができ、電気料金の上昇も抑えられるため、コスト面でのメリットもあります。社会全体として見れば、こうした拠点が増えることで、電力系統の増強コストや発電所の新規設置といったコストも抑制することができます。

EnneEV(エネーブ)は、法人における最適なEV充電インフラの導入や、EV充電器の充電制御を可能にするEVスマート充電サービスです。EVの充電時間・出力の両方を制御できるため、電力需給ひっ迫の解決に大きく貢献します。
また、法人における最適なEV導入計画のご提案から設備機器の準備、設置工事までワンストップでご対応可能です。

以下の資料では、社用車をEV化する際に知っておきたいノウハウをご紹介しています。EVの導入にご関心のある方は、ぜひご活用ください。

社用車EV導入ガイドブック_画像1

社用車EV導入 ガイドブック

本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。

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