EV(電気自動車)の充電時間はどれくらい?車種別の目安・計算方法・充電時のポイントもご紹介
「社用車/公用車としてEV(電気自動車)を導入したいが、充電に長い時間がかかるのでは?」という疑問を持たれている方は多いのではないでしょうか。EVの充電時間は車種によって変わってくるため、車種別の目安の充電時間や計算方法を知っておくとEVを導入する際の判断基準になります。本記事では、EVの充電にかかる時間や充電を最適化するためのポイントなどを解説します。
目次
EV(電気自動車)の充電にかかる時間はどれくらい?
EV(電気自動車)の充電時間は、充電残量がゼロの状態から満充電までに短くても数時間、長い場合には10時間程度かかることもあります(6kWの普通充電器の場合)。
ガソリン車の給油では満タンになるまで数分しかかからないことに比べると、EVの充電時間はかなり長いことから、社用車/公用車としてのEVの導入をためらう方もいるかもしれません。
ここからは、まずEVの充電にどれほどの時間がかかるかを計算する方法をご紹介します。
充電時間の計算方法
EVの充電時間は以下の計算式で求めることができます。
充電時間(h)=充電したい電気量(kWh)÷充電器の出力(kW) |
例えば、会社の駐車場などの専有スペースで、日産リーフe+(40kWhバッテリー搭載車、バッテリー残量10%)を普通充電器(6kW)で充電する場合、充電時間は以下のように計算できます。
充電時間(h)=40(kWh)×0.9÷6(kW)=6h |
上記はおおよその理論値のため、正確な充電時間についてはメーカーの公称値をご参考ください。
また、公共用充電設備で充電する場合は場所によって充電器の出力が異なっているため、充電時間や同じ時間に充電できる電気量に違いがあります。
それぞれの公共用充電設備でどの程度充電に時間を要するか調べたい場合は、公共用充電設備検索アプリ/サービスで充電器の出力を確認すると、目安の充電時間を知ることができます。なお、急速充電器の場合、1回あたりの充電時間の上限は通常30分までに設定されていることに注意が必要です。
【車種別】充電時間の目安
ここからは、EVの満充電に必要な充電時間について見ていきます。代表的な車種の満充電にかかる目安の時間は以下の通りです。
車種 | バッテリー容量 | 普通充電器 (充電出力:3kW) | 普通充電器 (充電出力:6kW) | 急速充電器 (充電出力:50kW) |
日産 リーフ e+ | 40kWh | 13.33時間 | 6.66時間 | 0.8時間 |
日産 アリアB6 | 66kWh | 22時間 | 11時間 | 1.32時間 |
テスラ モデルY | 57.5kWh | 19.16時間 | 9.58時間 | 1.15時間 |
※小数点3位以下は切り捨て
※記事公開時における、各社公表のバッテリー容量を基にした概算値です。最新の情報とは異なる場合がありますので、詳細は各社公式サイト・カタログでご確認ください。
上記からも分かるように、EVの充電時間は充電器の出力値に左右されます。また、充電器の出力値以外にも、EVのバッテリー容量(kWh)、充電残量、EV側の受け入れ能力、そしてバッテリーの温度も充電時間に影響します。
例えば、バッテリー容量が大きくなるほど、充電時間は長くなります。また、充電残量が満充電に近いほどEV側で充電電流を小さくするため、充電時間が延びやすくなります。バッテリーの温度に関しては、25~30度の時に最も早く充電でき、温度が高くなると充電時間が長くなります。
このように、EVの充電時間は、車種や充電環境などさまざまな条件によって左右されるため、表の数値はあくまでも目安として捉えておきましょう。もしも、検討中の車種がある場合は、カタログ等を確認してみてください。
続いて、以下からは「充電時間が長い」と捉えられやすいEV充電に関する基礎知識と、充電を最適化する方法についてご紹介します。
EV(電気自動車)の充電時間は長すぎる?
これまでご説明したようにEVは満充電までに数時間かかりますが、この充電時間は「長い」のでしょうか。
実は、EVの充電時間の長さは必ずしもデメリットではありません。EVの充電はガソリン車と異なり、EVを使用していない間に行うことが基本です。そして、充電の間に立ち会う必要はありません。また、必ずしも毎回満充電にする必要がないため、実際にはより短い充電時間で済むことも多々あります。
充電時間=待ち時間ではない
ガソリン車はガソリンスタンドに行かなければ給油できませんが、EV(電気自動車)の場合はEVを使用していない時間帯に自社の専有スペースで充電することが基本です。また、充電中EVのそばで待機し続ける必要がありません。
例えば、社用車/公用車のEVを日中に使用する場合、帰社後に充電器につなげておくことで、EVを使用しない夜間に充電しておくことができます。翌日までに充電が完了すれば、満充電まで数時間かかったとしても業務に支障をきたしません。
こうしたガソリン車との違いや特性を理解することで、社用車/公用車のEVをうまく活用していくことができます。
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しかし、「EVの導入台数が増えることで、電力設備に大きな負荷がかかるのではないか」「一斉に充電すると、契約電力が上昇してしまうのではないか」と懸念される方もいるかもしれません。
そこで以降では、EV充電を効率化し、充電時間の最適化や充電コストを削減する方法をご紹介します。
「スマート充電」の活用
EV(電気自動車)の効率的な充電方法に、「スマート充電」を行う方法があります。スマート充電は、充電開始/停止のタイミングや、充電の出力をシステムで自動調節することです。
複数のEVを充電する場合でも、スマート充電を活用すると充電のタイミングを自動で分散させたり、充電出力を契約電力内に収めたりすることができます。スマート充電を活用しない場合、充電器に接続すればすぐに充電が始まってしまうため、営業時間中などに充電を開始してしまうと契約電力の上昇につながる可能性があります。日中に社用車/公用車を使用する企業の場合は、車を使わない夜間にスマート充電を行うことで、契約電力への悪影響や設備増設によるコスト増を意識せずに充電することができます。
スマート充電を実現させる「充電制御」機能については以下の記事で詳しく解説しています。
次章からは、EV導入前に知っておきたい「豆知識」として、EVの充電時間が必ずしも理論値の通りになる訳ではない理由についてご紹介します。
EV(電気自動車)の充電時間に関する豆知識
バッテリー残量とEV(電気自動車)の充電時間の関係
車種によって違いはありますが、EVの充電時間は充電残量の影響を受けます。
例えば、日産リーフは満充電に近づくにつれて充電速度が遅くなります。これは、バッテリーを保護するためにEV側で電圧や温度を管理し、充電電流を調整しているからです(携帯電話のバッテリーも同様の制御が行われています)。充電が概ね80%から90%程度までに達した後、充電速度が低下することが多いようです。
以上のことを踏まえると、バッテリーが90%まで回復するまでにかかる充電時間(充電速度)と、90%以上回復するためにかかる充電時間(充電速度)は異なります。
もしも時間課金制の公共用充電設備で充電する場合は、充電残量を90%程度までに留めておいた方が良いでしょう。特に充電残量を90%から100%まで回復させる場合は、余分な時間を要するため料金も余分にかかってしまいます。
バッテリー温度とEV(電気自動車)の充電時間の関係
EVの充電時間は、バッテリーの温度にも左右されます。これも、EV車両の機能であり、バッテリーの温度が高い場合、EV車両は充電電流を抑えることがあります。
そのため、例えば夏の日中に充電器側で何も制御をしていなくても、車両側で充電を止めているといったケースもあります。
このことを踏まえると、夏の日中に充電することは避けることをおすすめします。公共用充電設備での充電の場合、お金を払って充電器を利用しても少量しか充電されないこともあり得ます。暑い時間帯での充電は控え、充電のタイミングを夜間に移しスマートに充電を行う方が効率的です。
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EVは車種や充電器の種類、充電残量や温度によって充電時間が変わりますが、いずれにしてもガソリン車と比べると長い時間がかかります。しかし、充電時間の長さはEVの欠点ではなく夜間にスマート充電を行うことで利便性を損なわずに充電できます。
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