【2024年度】電気自動車の補助金はどのくらい?上限、申請方法、注意点について

EVの基礎知識
【2024年度】電気自動車の補助金はどのくらい?上限、申請方法、注意点について

環境保護の観点からCO2を排出しないEV(電気自動車)の導入(EVシフト)が注目されており、政府はEV普及を後押しするため補助金制度を創設しています。補助金を活用することで、EV導入に関わる初期費用を抑えることが可能です。本記事では、EV補助金の上限や申請の要件、交付までの流れなどを解説します。

目次

電気自動車(EV)の補助金の概要・目的

昨今、「脱炭素」に向けた取り組みが世界的に求められる中、ガソリン車からEV(電気自動車)への転換を図る「EVシフト」が注目されています。

国内外でのEVシフトの現状やEVのメリット・デメリットなどは以下の記事で詳しく解説しています。

「EVシフト」とは?日本と海外の現状、今後の動向について解説
EV(電気自動車)のメリット・デメリット、導入が進む背景、環境にやさしい理由とは?

日本政府は「2035年までに新車販売で電動車100%を実現」という方針を発表しており、EVの普及を後押しするための施策として実施されているのが、EV購入に対する補助金制度です。EV購入の補助金制度は、国や地方自治体によるEVシフトを促すための政策の1つであり、環境に配慮した社会の実現を目的としています。

EV関連の補助金の中でも、特に代表的なものが「CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金」です。「CEV補助金」制度は経済産業省が所管している政策であり、この補助金を活用することで、EV導入の初期費用を抑えることができます。

2024年度のCEV補助金のポイント

2024年度(令和6年度)から「CEV補助金」の制度が改定されました。特に大きな変化は、補助金額の算定基準にあります。

従来は、「電費」(1kWhあたりの走行距離)や「一充電走行距離」(フル充電での最大走行距離)といった「車両の性能」に基づいて評価されていました。しかし、2024年度は、自動車分野でのグリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた、メーカーの取り組み全般を総合的に評価する方式へと変更されており、高い評価を得たメーカーの車種は高い補助額が算定されることになっています。GXは、石油や石炭などの化石燃料が中心の産業や社会の構造を、CO2を排出しないクリーンエネルギーが中心の構造に移行することを指します。

▼新たな基準となる「自動車分野のGX実現に必要な価値」

自動車分野のGX実現に必要な価値自動車メーカーに求めていく取組
①製品性能の向上◆電費・航続距離の向上
◆省エネ法トップランナー制度の対象車
②ユーザーが安心・安全に乗り続けられる環境構築◆充電インフラ整備
◆アフターサービス体制の確保や、整備人材の育成
◆車両のサイバーセキュリティ対策
③ライフサイクル全体での持続可能性の確保◆ライフサイクル全体でのCO2排出削減
◆リユース・リサイクルの適正な実施や資源の有効活用等
④自動車の活用を通じた他分野への貢献◆外部給電機能の具備や、災害時の地域との協力等

具体的な評価基準については、一般社団法人次世代自動車振興センターが公表している情報をご確認ください。

出典:一般社団法人次世代自動車振興センター「CEV補助金における評価の基準について」

補助金の上限額

補助金の交付額の決定にあたっては、自動車分野のGX実現に向けた車種ごと・企業ごとの取り組みを総合的に評価し、それぞれの車種にスコアが付与されます。このスコアに基づき、補助金額が段階的に設定されています。

評価項目配点
車両性能(車種ごと)40
充電インフラ整備(企業ごと)40
整備の体制 / 質の確保(車種ごと)・(企業ごと)40
整備人材の育成(企業ごと)20
サイバーセキュリティへの対応(車種ごと)20
ライフサイクル全体での持続可能性の確保(企業ごと)20
自動車の活用を通じた他分野への貢献(車種ごと)・(企業ごと)20
合計点200

 

得点EV 軽EV PHEV FCV
130~85万円55万円55万円(差額の2/3)
×100%
100~12965万円
85~9945万円45万円45万円×80%
70~8435万円35万円35万円×60%
55~6925万円25万円25万円×40%
~5415万円15万円15万円×20%

例えば、A社のBモデルのEVを購入した場合、A社の評価が50点、Bモデルの評価が50点と仮定すると合計100点のスコアとなるため、補助金の交付額は65万円となります。

出典:一般社団法人次世代自動車振興センター「CEV補助金における評価の基準について」

CEV補助金の他にも、地方自治体が創設している補助金制度もあります。上限額や条件等は各自治体によって異なるため、自社の所在する自治体の制度を確認しておきましょう。

なお、国の補助金と自治体の補助金は、基本的に併用することができます。

補助金の申請要件

EV関連の補助金を申請し補助金の交付を受けるためには、申請の要件を満たしている必要があります。以下では一例として、CEV補助金の交付条件について見ていきます。

①補助対象車両
CEV補助金の交付対象となる車両は、以下の車両です。

それぞれについて、補助対象となるメーカーや社名、グレードなどが定められており、詳細は経済産業省のウェブサイトから確認することができます。

・電気自動車(EV)
・プラグインハイブリッド車(PHEV)
・燃料電池自動車(FCV)
・超小型モビリティ
・ミニカー
・側車付二輪自動車・原動機付自転車

 ただし、該当する車両であっても、中古車・事業用車両は対象外、国のその他の補助金と重複して申請できないといった条件もあります。

詳しくは補助金の応募要領をご確認ください。

出典:一般社団法人次世代自動車振興センター「令和5年度補正 CEV補助金(車両)のご案内」

②補助対象者
補助金交付の対象者は、対象の車両を購入する個人、法人、地方公共団体などです。

なお、車両を購入せずリース契約を行う場合についても申請が可能です。その場合、「令和6年3月31日(令和5年度)以前」の新車新規登録車(新規検査届出車)については、EV所有者であるリース会社が交付申請を行うことで、リース会社に補助金が交付されます。「令和6年4月1日(令和6年度)以降」の新車新規登録車(新車新規検査届出車)については、車両の使用者(ユーザー)が補助金申請を行う申請方法に変更されております。この変更により、これまでリース料金に分割してユーザーに補助金が還元されていたものが、一括して補助金の受領が可能となります。

③補助対象とする基準
補助金を受け取るには、車両登録の手続きを行う必要があります。

具体的には、令和5年12月1日以降に新車新規登録、または新車新規検査届出がなされた車両が対象となります。

出典:経済産業省「令和5年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」

補助金の申請方法・交付までの流れ

EV導入の際にCEV補助金を受け取るまでの流れには、以下5つのステップがあります。

CEV補助金の交付までの流れ

①補助金交付対象のEVの購入・登録
CEV補助金は、申請前に対象となるEVの購入・登録を済ませておく必要があります。そのため事前に代金の支払い手続きと車両の登録は完了させましょう。

②申請書類の提出
WEB申請の場合、WEB申請マニュアルに基づきオンラインで申請を行います。紙申請の場合は、必要書類を添付して、郵便もしくは信書便で提出します。持ち込みによる申請はできないため、注意が必要です。

③申請書類の審査
補助金交付申請書類が応募要件を満たしているか、適正な内容かについて審査を受けます。通常、審査は申請受付日から2か月程度かかります。

④補助金交付審査の通過・振込
審査に通過すると「補助金交付決定通知書兼補助金の額の確定通知書」が届き、そこから1週間程度で指定した口座に補助金が振り込まれます。

⑤一定期間のEV保有
登録日から4年または3年の定められた期間、車両を保有しておく必要があります。保有義務期間中に車両を処分する場合は別途手続きを行い、交付された補助金の全額、または一部を返納します。

参考:令和5年度補正クリーンエネルギー自動車導入促進補助金応募要領

補助金も活用しながら、EVシフトを進めよう

ご紹介したように、国内にはCEV補助金をはじめ、EVの購入を促進するための支援制度があります。申請要件を満たし受給できれば、EV導入の初期コストを抑えることが可能です。

しかし、EV関連の補助金はEVシフトへのきっかけ作りや定着化のための一時的な支援であるため、今後も続く訳ではないことには注意が必要です。

また、補助金ありきの姿勢になることで、自動車メーカー・充電器メーカー・工事事業者等の自助努力によるコスト低減が進まなくなり、健全な競争に支障をきたす可能性もあります。EV導入側においても補助金があるから導入する、補助金がなければ導入しないといった姿勢に変わってしまう恐れがあります。

補助金は、EVの普及によって地球温暖化問題の改善が期待されているという背景から創設された支援制度です。EV導入する企業や自治体においても、補助金をもらって利益を得ることが目的ではなく、地球温暖化問題に対応することで社会に貢献することが本来目的であるはずです。それらの点を忘れず理解した上で、過度な補助金依存体質とならないよう、補助金をうまく活用しながらEVの導入を進めることが重要です。

以下の資料では、EV導入を進める際の注意点やポイントについて詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

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本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。

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