ガソリンスタンドの減少が止まらない。30年で半分以下になった理由とは

EV市場の現状
ガソリンスタンドの減少が止まらない。30年で半分以下になった理由とは

日本ではガソリンスタンドが年々減少しているのをご存知でしょうか?この背景には新車の燃費が向上していることや消防法の改正により、ガソリンスタンドが減少することでガソリン車を使用することの不便さがあるかも知れません。
本記事では、ガソリンスタンドが減少している背景やガソリンスタンドが今後どうなっていくのか、またスタンドの減少を踏まえたうえでのEVシフトという選択肢について解説します。

目次

年々減少するガソリンスタンド

ガソリンスタンドは年々減少傾向にあります。
資源エネルギー庁によると、ガソリンスタンド数はピーク時の平成6年度末には6万を超えていましたが、令和4年度末には27,963と、約30年で半分以下になっています
また揮発油販売業者数も、平成元年度末には32,835社ありましたが、令和4年度末には12,754社と、3分の1近くに減少しています。

ガソリンスタンドの減少が止まらない。30年で半分以下になった理由とは

※出典:資源エネルギー庁「揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース) 7.揮発油販売業者・給油所数の推移」

ガソリンスタンドが減少している背景

ガソリンスタンド数が減少している背景としては、主に「新車の燃費向上」と「消防法の改正」があります。

新車の燃費向上

EVやHV(ハイブリッドカー)が登場・普及したことに加え、ガソリン車にトップランナー基準(省エネ型の製品を製造するうえで達成すべき目標値)が導入されたこともあり、過去数十年で自動車の燃費性能は飛躍的に向上しました。

燃費の向上は環境にとってはもちろん良いことです。しかし、個々の車両が消費するガソリンの量が減少することでガソリン需要が減るため、ガソリンスタンドの経営に悪影響を与えます。その結果、ガソリンスタンド数の減少を招くことになりました。

EVやHVの詳細については以下の記事をご覧ください。

消防法の改正

ガソリンスタンドにはガソリンを貯蔵するための地下タンクがありますが、腐食劣化を原因とする流出事故を防ぐために2010年に消防法が改正され、改修義務が強化されました。この法改正により、耐用年数である40年を超えた地下タンクについて、流出を防ぐために改修するか取り替えるかの措置を講じなければならなくなりました。

いずれの場合も多額の費用がかかるため、40年の耐用年数を迎えるタイミングで廃業するガソリンスタンドも少なくありません。さらに、ガソリンスタンド経営者の高齢化と後継者不足も重なって廃業が増えています。

このようにガソリンスタンド数が減少する中でも、ガソリンを使用しないEVであれば影響を受けません。
以下の記事では、EVシフトの現状や世界と日本の取り組み状況について解説していますので、あわせてご覧ください。

ガソリンスタンドの今後について

前述のようにガソリンスタンドを取り巻く環境は厳しさを増しており、何もしなければ衰退することは避けられません。こうした中で、今後のガソリンスタンドはどのような方策をとっていくと考えられるのか、以下で解説します。

1つ目の方向性は、ガソリン販売以外の豊富なサービスを提供することです。
ガソリンスタンドは単にガソリンを販売するだけでなく、洗車や修理、オイルやタイヤの交換など車に関するメンテナンス全般のサービスを提供しています。そのため、今後さらにガソリン需要が大きく減ったとしても、ガソリンスタンド自体の需要がゼロになるわけではありません。

暖房用の灯油販売も行っており貴重な収入源となっているほか、コンビニやカフェの併設、買い物代行やハウスクリーニングなどを行っているガソリンスタンドもあり、利用者に多様な価値を提供しています。
こうしたさまざまなサービスを充実させることが、今後はより重要になってくると予想されます。

また、社会全体のEVシフトを見据えてEV充電ステーションへ転換するという方向性もあります。
ただし、ガソリンと違いEVは満充電になるまで30分から1時間程度かかるため、充電するためだけにガソリンスタンドに立ち寄る利用者は多くないと予想されます。実際、EVの充電スタンドはショッピングモールや道の駅など、比較的長い時間を過ごせる場所に設置されていることが一般的です。

また、EVは自宅や会社で充電できるという利点があり、それ以外の場所で充電する機会は多くないため、必ずしもEV充電ステーションへの転換が上手くいくとは限らないことには注意が必要です。

EV充電器の詳細については以下の記事をご覧ください。

ガソリン車からEVへのシフトを検討しよう

燃費向上や消防法改正の影響でガソリンスタンドは年々減少し続けており、多様なサービスの提供を通じて生き残りを図っているガソリンスタンドもみられます。EV充電ステーションへの転換も選択肢にはなりますが、前述のようにEVの充電の性質上、ガソリンスタンドほどの需要は見込めないのが実情です。

いずれにしても、ガソリンスタンド減少の流れは今後も続いていくと予想されるので、ガソリン車を使い続けていると不便さが増していくと考えられます。ガソリン車はもちろん、ガソリンを主として利用しているHV・PHVの利用もいずれ難しくなるかもしれません。

そこで、事業者・自治体はEVシフトを進めていくことが必要になります。EVシフトは温室効果ガスの排出削減を主な目的としていますが、ガソリンスタンド減少への対応という観点からも、今後さらに重要性が増していくでしょう。

以下の資料では、社用車/公用車のEVシフトのメリットや必要なステップを解説していますので、EVシフトにご興味のある方はぜひご覧ください。

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