EV(電気自動車)のトルクと加速力について解説!ガソリン車との比較
「EV(電気自動車)はガソリン車に比べ加速が良い」、という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?実際に、EVはガソリン車と比較して高い加速性を誇り、安定した走行が可能です。本記事では、EVの加速性能やそれを実現する「トルク」を中心に解説します。
目次
EV(電気自動車)の加速力について
まずは、EV(電気自動車)の加速力と車両の性能を表す「トルク」とは何かについて解説します。
なお、EVのメリット・デメリットや航続距離、EV以外の車両との違いなどについては以下の3記事で解説しています。あわせてご覧ください。
EV(電気自動車)のメリット・デメリット、導入が進む背景、環境にやさしい理由とは?
EV(電気自動車)の航続距離の目安とは?国内・海外車種別の後続距離も紹介
EVとHV、PHV、FCVの違いとは?ハイブリット車と電気自動車はどれほどエコ?
EVの加速力はどのように決まるのか
EVの加速力は、主にはモーターの性能によって決まります。搭載されているモーターが効率的でパワフルであるほど、車両は短時間で高速度に達することができるため、そのEVの「トルク」も高くなります。
ただし、実際の加速力を決める要素はモーターの性能だけではありません。車両の重量やバッテリーの状態によっても加速力は変化します。例えば、高電圧のバッテリーはモーターに多くのエネルギーを供給できるため加速力を向上させ、車両の重量が軽いほど加速が容易になります。
そもそも「トルク」とは
車両の性能を表す要素の1つに「トルク」があります。「トルク」と似た概念としては「パワー」があり、どちらも車両性能を表す数字ですが、両者には違いがあります。
「トルク」とは、モーターの回転運動を生じさせる力であり、わかりやすくいえば「蹴り出す力」のことです。自動車の場合、エンジンやモーターが回転する際に発生する力を示します。具体的には、車輪に伝わるトルクが大きいほど、車両はより力強く加速し、坂道を登る際にもスムーズに動きます。
トルクの単位としてはN・m(ニュートンメートル)が使われ、加速や登坂などの動力性能に関係します。この単位は、力(ニュートン)と距離(メートル)の積として理解することができます。つまり、1N・m のトルクは、1メートル離れた点に1ニュートンの力を生じさせることができるという意味です。
一方で、「パワー」(馬力)は1分間あたりの総出力トルクのことであり、トルクに回転数を掛け算することで求められます。つまり、パワーは、トルクがどれだけ速く発生するかを示す指標です。パワーが高いほどエンジンやモーターは高速で回転します。
スペック表では出力の項目で表され、単位はkW(キロワット)です。高いパワーを持つ車両は高速走行や迅速な加速が可能です。
トルクやパワーは、高速走行や急加速などのスピードに関係する指標であり、最高速度を決めるのがパワー、そこに到達するまでの時間を決めるのがトルクとなります。どちらも車両性能において重要な指標です。
トルクが必要となる場面とは
車両運転中にトルクが必要となる場面はいくつかあります。
例えば、急勾配の坂道で発進するとき、トルクが高いとスムーズにスタートできるほか、高速道路での合流時や追い越し時には、短い距離で一気に速度を上げる必要があるため、高いトルクが求められます。
また、雪道でのスリップやスタックしたときにも、タイヤが地面をしっかりと捉えられるよう高いトルクが必要です。これは十分なトルクがあることで、路面とタイヤの間の摩擦力を確保し、安定した走行を実現するためです。
なお、このような場面においては、トルク性能だけでなく、タイヤとモーターの連携の速さに基づく制御力の高さなども必要となります。そして、これらの点において、EVのモーターはガソリン車のエンジンより高い性能を持っています。
EV(電気自動車)とガソリン車、加速力の比較
車種にもよるものの、EVのトルクは一般的に同クラスのガソリン車よりも高水準です。
ガソリン車のエンジンの場合、エンジンの回転数が上がらないとトルクが十分に発生せず、ほとんどトルクが発生しない回転域もあります。
一方で、EVのモーターは基本的に電気が流れた瞬間から最大のトルクを生み出す特性があります。つまり、停止している状態でもアクセルペダルを踏んでからのタイムラグが短いということです。走行時においても、EVは電気モーターの回転数に関係なくトルクを提供するため、追加の加速が容易です。ガソリン車ではエンジン回転数が上がる必要があるため、走行中の加速においてもタイムラグが発生します。
このことから、EVは加速力において、ガソリン車を上回るといえます。
また、EVはバッテリーを車の下部に配置するため、低重心の安定した走りが可能です。そのため、雪道などの低グリップな路面でも、適切なタイヤを装備してしっかりとした運転技術を備えていれば、安定して走行することができます。
EVは社用車/公用車としても十分な性能
ここまで見てきたように、EVはガソリン車と比較しても高い加速力を持ち、安定した走行ができるのが特長です。
近年では、このような高い車両性能とカーボンニュートラル達成の観点から、社用車/公用車のEV化を進めている企業や自治体が増えています。
実際に、NTTグループでは2025年度までにEV化率50%、2030年度までに社用車(普通車両)のEV化率100%をめざしています。
こうした社用車EV化の取り組みをサポートしているサービスが「EnneEV」です。EV充電インフラの導入を一気通貫で支援し、さらにEV充電器の遠隔制御を実現することで、脱炭素社会に貢献する「EVスマート充電」を可能にします。
以下の資料では、EVを社用車/公用車として導入する際のノウハウをご紹介していますので、社用車/公用車のEV化をご検討している方はぜひご覧ください。
社用車EV導入 ガイドブック
本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。