EVは燃費(電費)が良いの?
ガソリン車とどちらが安い?
EVの燃費、つまり電費は、運転コストや環境への影響を評価する上で非常に重要です。この記事では、EVの電費の基本的な概念から計算方法、さらにはガソリン車との比較までを詳しく解説します。また、電費を向上させるための具体的な方法やランニングコストを抑えるための対策についても紹介します。EVを効率的に利用するための知識を身につけましょう。
目次
EV(電気自動車)の燃費について
EVの燃費を理解するためには、まず「電費」の概念を知ることが重要です。
EVの「電費」とは
EVの「電費」とは、ガソリン車における「燃費」に当たる概念です。
具体的には、1kWhの電気で何km走行できるかを示す指標であり、単位は「km/kWh」で表されます。1kWhあたりで走行可能な距離(km)が長いほど、少ない電気で長い距離を走れるため、電費が良いと言えます。つまり、電費(km/kWh)の値が大きいほど電費性能が優れているということです。
なお、同じ車種でも気象条件、交通状況、運転方法、エアコン使用の有無などによって電費は変わってきます。
EVの電費の計算方法
電気自動車のカタログに掲載されている電費は、メーカーが標準的な条件下で測定した数値です。そのため、実際の使用状況ではこの数値と異なることも珍しくありません。
実際の電費は、走行距離と使用した電力量を用いて計算します。計算式は以下の通りです。
電費(km/kWh)=走行距離(km)÷使用した電力量(kWh)
例えば、150km走行するのに25kWhの電気を要した場合、
電費は150(km)÷25(kWh)=6(km/kWh)となります。
EVの電費の平均値
一般的なEVの電費は、6~7km/kWhと言われています。つまり、1kWhの電気量で6kmの距離を走ることができるということです。
しかし、前述のように実際の電費は交通条件や走行方法など、さまざまな要素の影響を受けます。
例えば、急加速や急ブレーキを多用する運転は電費を悪化させ、反対に穏やかでスムーズな運転は電費を改善させます。上り坂や高速道路などで回生エネルギーを使用しない「アクセル踏みっぱなし」の走行も、電費を悪化させます。
また、エアコンやヒーターの使用は電力を消費するため、使用頻度が高いと電費悪化の要因となります。寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすく、これも電費に影響を与える要素の一つです。
EVの航続距離については以下の記事で説明しています。こちらもあわせてご覧ください。
EVの電費を確認する方法
EVの車両に搭載されている液晶ディスプレイでは、リアルタイムの消費電力量や電費情報を確認できます。
さらに、EVメーカーは専用の公式スマートフォンアプリを提供していることもあり、このアプリを通じて電費情報を確認することも可能です。アプリを利用すると、過去の走行履歴や充電履歴を基にした電費の詳細なデータを把握することができ、運転習慣の改善や効率的な充電計画の立案に役立てることができます。
ガソリン車の燃費とEVの電費の比較
走行時に温室効果ガスを排出しないEVは環境にやさしいと言われていますが、燃費(電費)という経済性の面では、EVとガソリン車のどちらが優れているのでしょうか。
以下では、ガソリン車の燃費とEVの電費について比較・検証します。
・ガソリン車の場合
ガソリン車の一般的な燃費は15km/ℓです。
ガソリン代が170.8円/ℓ※の場合、1km走るのにかかる金額は170.8÷15=11.4円となります。
・EVの場合
EVの一般的な電費は、前述の通り6~7km/kWh程度です。ここでは6km/kWhと設定します。
電気料金が1kWhあたり22.42円※の場合、1km走るのにかかる金額は22.42÷6=3.7円となります。
1km走行するのにかかる費用は、ガソリン車が11.4円であるのに対し、EVが3.7円であり、この結果からEVはガソリン車と比べて燃費(電費)が良いと言えます。
※電気代単価およびガソリン単価は諸々の情勢により変動しますので上記価格は試算上の仮のものです。電気代単価はTEPCO東京電力エナジーパートナー公式HPに掲載の業務用電力単価・その他季のもの、ガソリン単価はガソリンスタンド情報共有サイト(gogo.gs)に掲載のものを抜粋(2024年4月現在)。
EVの電費をよくするためにできること
EVの電費をよくするためには、定期的なメンテナンスを行い、モーターやバッテリーの効率維持を心がける必要があります。
「エコドライブ」を意識し、実践することでも電費は改善します。例えば、穏やかな加速と減速を心がけ、アクセルを時々外して運転する「リフト&コースト」を行うとムダな電力を消費しません。
また、EVに載せる荷物が多いと重量が増え、走行時に多くの電力を必要とします。そのため、不要な荷物はなるべく載せず、EV車両の軽量化を図ることが大切です。
このほか、タイヤの空気圧を適切に維持することで「転がり抵抗」を減らしたり、エアコンの過度な使用を控えたりすることも電費向上につながります。
エコドライブの実践方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
エコドライブの実践方法を紹介!
EVのランニングコストをさらに抑えるためには?
前述のような電費改善の工夫に加えて、EVのランニングコストをさらに抑えるためには以下の方法が効果的です。
プライベート充電を行う
プライベート充電とは、企業・自治体が自ら所有する駐車場に充電器を設置し、その充電器を専有して利用する充電のことです。
普通充電器を利用することが主流であり、料金は各事業所の契約する電気料金に基づき決定されます。公共の場で充電を行うパブリック充電よりも、ランニングコストを抑えられる傾向があります。
普通充電器をはじめとするEV充電器の種類については、こちらの記事をご覧ください。
なお、EVの導入予定台数が多く、かつ既存設備が低圧の場合は、高圧設備への切り替えが必要となることもあり、その際には高額な高圧受電設備等の新設が必要となります。一方で、充電器を設置する駐車場に別途低圧線を引き込む方法(別受電方式)を採用すれば、既存設備のままEVのプライベート充電を行うことができます。
次に紹介する充電制御サービスと組み合わせることで、さらなるランニングコストの低減が可能です。
充電設備の設置費用や別受電方式のメリットについては、こちらの記事で解説しています。
充電制御サービスを活用する
電力契約は、最大需要が基本料金に反映されるため、電力消費が極端に大きくなる時間帯を作らないようにすることが重要です。
しかし、企業・自治体の場合、日中に社用車/公用車を使用するケースが多く、事務所に戻ってきた複数台のEVへの充電を夕方から夜にかけて行うことが一般的であるため、この時間帯に電力消費が偏りやすくなります。
そこで活用したい方法が充電制御サービスです。
充電制御サービスとは、充電タイミングや充電器の出力を調節できるサービスのことで、これを活用することで、電気を使わない夜間にEV充電ができるため、電力消費量の調整ができます。その結果、電気料金の基本料金を抑えられるようになります。
EVの台数が増えても、充電制御を行えば既存の契約電力の範囲内に抑えることが可能です。
EV社用車の運用コストを抑えるスマート充電サービス『EnneEV』
EVの電費は1kWhの電気で1km走行できる距離を示す指標であり、ガソリン車の燃費に比べてコスト面で優れています。電費やランニングコストをさらに抑えるためには、定期的なメンテナンスやエコドライブ、プライベート充電の実施に加え、充電制御サービスを活用することが効果的です。
エネットでは、社用車/公用車EV化の取り組みをサポートするサービスである「EnneEV(エネーブ)」をご提供しています。EnneEVでは、充電制御により充電電力を契約電力内にコントロールことができ、電気料金を極力抑えたEVの運用を可能とします。
EnneEVのサービスの詳細については、下記の資料をご覧ください。
サービス資料:スマート充電サービス『EnneEV®(エネーブ)』
また、以下の資料ではEV導入のカギとなる「充電器選び」のポイントについて紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
よくわかる EV充電器の教科書
本資料では、EV導入のカギとなる「充電器選び」のポイントをわかりやすくご紹介しています。EV導入に向けて、コストを抑えながら賢く充電器を選びたい方はぜひご覧ください。