EV(電気自動車)はSDGsにどのように貢献する?

EV市場の現状
EV(電気自動車)はSDGsにどのように貢献する?

世界的にSDGs(持続可能な開発目標)実現のための取り組みが進む中、走行時に温室効果ガスを排出しないEV(電気自動車)の重要性が高まっています。EVの普及はSDGsの実現に不可欠ですが、日本国内では普及を阻む課題もあります。本記事では、EV とSDGsの関連性や、EV普及における課題の解決に向けた取り組みや技術についてご紹介します。

目次

EV(電気自動車)とSDGs(持続可能な開発目標)の関連性

環境にやさしいEV(電気自動車)はSDGs(持続可能な開発目標)の実現に寄与することが期待されています。本章では、EVとSDGsの関連性についてみていきます。

EV(電気自動車)は4つのSDGs目標に貢献する

SDGs(持続可能な開発目標)は“Sustainable Development Goals”の略であり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。SDGsは17のゴールと169のターゲットから構成されており、発展途上国・先進国を問わず、世界全体が積極的に取り組むべきものとされています※。

※出典:外務省 「SDGsとは」

EVの普及は、以下のようにSDGs目標の7、9、11、13に関わるものであり、持続可能な社会を実現する上で重要な取り組みの1つです。

EV(電気自動車)は4つのSDGs目標に貢献する

● 目標7(エネルギー):すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。

● 目標9(インフラ、産業、イノベーション):強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。

● 目標11(持続化可能な都市):包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。

● 目標13(気候変動):気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

EV(電気自動車)はカーボンニュートラル実現に不可欠

カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることです。具体的には植林や森林管理などを通じて吸収する量と、人為的に排出される温室効果ガスの量を差し引きでゼロにすることを意味します。

カーボンニュートラルは、クリーンなエネルギーの使用や気候変動対策と密接に関連することから、SDGsの取り組みの1つに位置づけられており、SDGsの達成に欠かすことのできないテーマです。

SDGsとカーボンニュートラルの関係性については、下記の記事で詳しく解説しています。

化石燃料を燃焼することで走行するガソリン車と違い、電気のみを動力源とするEVは走行時に温室効果ガスを排出しないため、環境にやさしい自動車です。

日本の二酸化炭素排出量のうち、約2割が運輸部門からの排出であり、そのうち約9割を自動車からの排出が占めています※。このことから、ガソリン車からEVへのシフトは、二酸化炭素をはじめとする日本国内における温室効果ガスの削減につながり、温室効果ガスを排出しない脱炭素社会の実現に貢献します。

※出典:国立環境研究所 地球システム領域 地球環境研究センター

国の動向を見ると、政府は2035年までに「新車販売で電動車100%を実現」する方針を発表しており、運輸部門においてはこれまで以上にEV化が進むことが想定されます。

EV導入が進む背景やEVのメリット・デメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています 
EV(電気自動車)のメリット・デメリット、導入が進む背景、環境にやさしい理由とは?

日本におけるEV(電気自動車)普及に向けた課題

前述のように、SDGsやカーボンニュートラルを達成するためにEVの導入は不可欠である一方、日本国内のEVの普及においてはさまざまな課題があります。

まず前提として、現在の日本の新車販売のうち、EVの占める割合は2%程度です。走行時に温室効果ガスを全く排出しないEVの導入を進めている企業や自治体はまだ限られています。

日本のEVシフトが遅れている要因としては、「充電設備数が少ないこと」「導入コストが高いこと」「航続距離が短い」「電力不足への懸念」などの課題が挙げられます。

EV普及に向けた現状や課題の詳細については、下記の記事で解説しております。
「EVシフト」とは?日本と海外の現状、今後の動向について解説
EV導入の課題とは?企業や社会の電力コスト増大の懸念は「充電制御」で解決!
EVシフトを進めると電力が不足する?「充電制御」による解決策

こうした現状を改善するために、政府やEV関連企業はさまざまな取り組みを推進しています。次章では、それらの取り組みや技術をご紹介します。

EV(電気自動車)の普及を後押しする取り組みや技術

SDGs達成に向けたEVの普及のため、政府やEV関連企業は以下のような取り組みを行っています。

充電インフラの整備

政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置することを掲げています。このことから、今後充電環境がさらに改善され、EVの普及が後押しされることが期待できます。

一方、社用車/公用車での利用においては、自社で充電器を保有し充電すること(プライベート充電)ができるため、必ずしも公共用充電設備の利用を前提とする必要はありません。つまり、社用車/公用車については、公共用充電インフラが整備されるのを待たずにEVが普及する余地があるということです。

EV充電器の種類や充電器の設置費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
【法人向け】EV充電器の種類を紹介!普通充電器・急速充電器の違い、選び方のポイントとは
EV(電気自動車)の充電設備の設置費用はどのくらい?工事の流れ、別受電方式のメリット

補助金・税制優遇措置の導入

国や自治体は環境への負荷を抑えた社会の実現のために、EV購入や充電器設置の際に受けられる補助金制度や税制優遇制度を用意しています。例えば経済産業省では、EVをはじめとするエコカーの購入や充電器設置の費用を一部負担する「CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金」という制度を設けています。

EV関連の補助金の詳細については、下記の記事をご覧ください。

バッテリー技術の改善

EVのバッテリー技術は年々進化しており、数年前に比べると電費性能や航続距離が向上しています。

満充電で走行できる距離が500㎞を超える車種もあり、日常の買い物や社用車/公用車での移動であればほとんど問題のない距離だといえます。

充電制御システムの導入

充電制御システムの活用もEV導入のハードルを下げる役割を担っています。充電制御とは、充電開始のタイミングを変えたり充電出力を変えたりすることが可能な仕組みのことです。

このシステムを活用することで電力のピークシフト(電力消費が多い時間帯から少ない時間帯に電気使用量を一部移行すること)を実現したり、複数台の充電器を同時使用する際に出力調整を行うことで電気料金や設備増強コストの増大を回避できます。

また、多くのEVの充電を同じ時間帯に行うことよる地域の電力需給ひっ迫を緩和する効果も期待できます。

充電制御の仕組みや導入のメリットについては下記の記事で詳しく解説しています。

こうした取り組みが進められる中で、実際にEV導入を進めている企業もあります。次章では、その事例をご紹介します。

NTTグループが取り組む社用車のEV化

NTTグループでは、環境負荷の低減と脱炭素化に向けた取り組みとして、「社用車のEV化」を推進しています。

国内の社用車(普通車両)について、2025年度までにEV化率50%、2030年までに100%EV化という目標に向け、全国各地のNTTの拠点において社用車を順次EVに変更しているところです。その際、単にガソリン車をEVに置き換えるだけではなく、充電制御が可能な充電器を導入し、充電のピークシフトを実施することで電力関連コストの抑制を実現しており、更には地域の電力需要が特定の時間に著しく増大しないよう調整し、当該地域の電力インフラコストが増大しないよう貢献しています。

NTTグループが進めるEV化の取り組みの詳細については、下記の記事をご覧ください。

社用車/公用車のEV化によるメリットについては以下で詳しく解説しております。

上記の事例のように、企業・自治体が今後さらにEVの導入を進めていくことが、SDGsの達成に大きく貢献していくことにつながります。

以下の資料では、社用車/公用車のEV化のノウハウを公開しています。EVの導入を進めたい企業・自治体の方はぜひご活用ください。

社用車EV導入ガイドブック_画像1

社用車EV導入 ガイドブック

本資料では、世界と日本のEVシフトの現状やEV導入の際に考慮すべきポイントをわかりやすくご紹介しています。社用車としてのEV導入をご検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。

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