NTTグループのEV化への取り組みとは
NTTグループでは、環境負荷の低減と脱炭素化をめざし、「社用車EV化※」の取り組みを推進しています。本記事では、NTTグループの社用車EV化の取り組み内容やその効果、今後に向けた課題などをご紹介します。企業や自治体で環境問題についてできる取り組みをお探しの方や、社用車/公用車でのEV導入をお考えの方はぜひご参考にしてください。
※NTTグループが保有している一般車両
目次
「社用車EV化100%」をめざすNTTグループの取り組み
2030年までに100%のEV化をめざす
NTTグループが取り組む「社用車のEV化」は、環境負荷の低減と脱炭素化に向けた具体的な行動であり、社会課題解決に貢献する取り組みの1つです。
中長期的な目標としては、社用車(一般車両)について、2030年度までのEV化率100%達成に向けて取り組みを進めています。
NTTグループは、2018年10月29日に「EV100」※1、「EP100」※2に加盟しました。これらイニシアティブでは、地球環境負荷低減への貢献や、エネルギー効率の向上がめざされており、電気通信事業者による同時加盟は世界初です。
※1、※2:英国のNPO団体「The Climate Group」が主催する国際ビジネスイニシアティブであり、EV100は電気自動車の使用や環境整備の促進を、EP100は事業のエネルギー効率倍増をめざすもの。
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EV導入拠点にコストミニマムな充電インフラを整備
2030年度までにEV化率100%をめざしているNTTグループでは、単にガソリン車をEVに置き換えるだけではなく、充電制御が可能な充電器の導入も同時に進めています。
充電制御とは、充電開始/停止のタイミングや出力をコントロールする仕組みのことです。これによって電力のピークシフトが可能になります。
ピークシフトを実現することで、電力設備増強のコストを抑制できたり、地域全体の電力供給不足を抑制できたりします。
充電制御の仕組みや、ピークシフトの考え方については、以下の記事をご覧ください。
充電制御とは?仕組みやEV充電への導入メリット、時間制御と電圧制御の違いを解説
電力のピークシフトとは?ピークカットとの違い、EV充電におけるメリットについて解説
ピークシフトによる効果の一例としては、夕方帰社後、社用車の充電ピーク時間帯を避けられることが挙げられます。ピーク時に集中する充電を避けることで、電力設備の増強やそのコストを回避することができます。
さらに地域の電力需要の急増も回避できるため、地域の電力供給不足に影響を与えることがありません。したがって、地域の電力会社も発電設備を増やしたり、送電線を増設したりする必要もなくなりますので、電気料金の上昇を抑えることにもつながると言えます。
<充電制御が可能なEV充電器>
また、NTTグループでは、2021年電気事業法の特例措置※を有効活用し、「別受電方式」を採用しています。別受電方式とは、既存の電力契約とは別に充電器を設置する駐車場に低圧線を引き込む方法です。
※参考:資源エネルギー庁「特例需要場所及び複数需要場所を1需要場所とみなすことに関するQ&A」
通常であれば、EVや充電器の導入台数が増えると、多額の費用をかけて設備増強をしなければなりません。NTTグループには、数十台のEVを保有する拠点もあります。そのため、充電器を大量に導入すると、設備増強コストも多額になってしまいます。
しかし、この別受電方式を活用することで、多くの場合高圧施設で設備増強するよりも安価にEV充電器が導入可能となります。NTTグループでは大半の拠点において別受電方式を採用することで、コストミニマムな充電器の設置を実現しています。
このように、NTTグループでは充電インフラをコストミニマムに構築するだけでなく、将来の地域全体での電力需給バランスを考慮してEVの導入を進めています。
充電設備の増強や別受電方式などについては下記の記事で詳しく解説しています。
充電制御可能な充電器を約220拠点で約1,100 台設置
2024年3月末時点において、NTTグループでは、充電制御可能な充電器を約220拠点で約1,100 台設置しています。充電制御可能な充電器を導入することで、夕方に集中する充電を避けて夜間に充電したり、電気料金の上昇を回避したりできます。
EVへの供給電力を「グリーン電力」に切替
また、NTTグループでは、EVの充電にエネットが供給する実質再生可能エネルギーの電力を利用することで脱炭素化を進めています。EV化を進めても、化石燃料由来の電力でEVを充電し温室効果ガスを排出しては、脱炭素化の実現には近づけません。
そこで、NTTグループでは、主に別受電方式で設置した充電設備においてはエネットが提供する実質CO2ゼロの電気を活用して、さらなる環境負荷の低減に取り組んでいます。
NTTグループ「社用車EV化」にともなう3つの効果
温室効果ガス削減
ガソリン車と異なり、EV(電気自動車)は走行時に温室効果ガスを排出しません。そのため、社用車をEVへとシフトすることにより、温室効果ガスの削減に貢献しています。
この効果は、国や世界的に目指されている環境負荷の低減や、その先にあるカーボンニュートラルの達成と直結するものであり、EV化を推進する最大のメリットと言えます。
EVシフトがどのようにSDGs達成に貢献するかについては、以下の記事で紹介しています。
EV(電気自動車)はSDGsにどのように貢献する?
減車化によるコストダウン
NTTグループでは、EV化を進めるにあたり、グループ各社で「減車化」に取り組んでいます。これにより、グループ各社において不要なコストを削減できたこともメリットとして挙げられます。
具体的には、EV導入にあたり社用車の稼働状況を調べ、本当に必要な車両数のみをEV化しています。実際に使用実績を調査すると、利用機会が少なくなった車両もあることが判明し、それらの削減を進めることでコストダウンが可能となりました。当然ながら、車両数が減れば、温室効果ガス排出量も削減できます。
電力のピークシフトによるコスト抑制
充電制御が可能となる充電器を設置したことで、スマート充電が可能となりました。スマート充電により電力消費を最適化し、設備容量や契約電力の範囲内で運用できるようになりました。
これにより、EVの導入台数が増えても過度な設備増設をせずに、最小限のコストでの運用を実現しています。
また、設備容量や契約電力の範囲内で運用するだけではなく、電気料金のより安価な時間帯を選択して充電することも実現しており、徐々に導入拠点を増やしていく予定です。
これら以外にも、社用車EV化によるメリットはあります。企業や自治体がEVを導入するメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
2030年100%EV化に向けた課題
NTTグループが一般車両の100%EV化をめざすにあたり抱えている課題には、以下のようなものがあります。
①工事コストの低減と標準化
現在、工事会社によってEV充電器の設置工事の費用は様々であり、費用の内訳も不透明な状況です。そのため、現状としては「工事費用が適正かどうかわからない」といった問題があります。
EV充電器の設置工事の事例を蓄積し、作業内容や費用を標準化・適正化する必要があります。
②機械式立体駐車場への充電器設置
機械式立体駐車場の場合、充電器の配線が難しいため、専用の充電器の開発など新たな対応が求められています。
③EV導入検討の効率化
EVは導入場所によって工事内容や課題が異なり、導入検討業務の標準化・効率化が難しいという問題があります。整理が必要となる要件の明確化や、合意形成プロセスの確立などにより、業務効率化の実現をめざしています。
以上のような課題解決を進めながら、より効率的で低コストなEV導入ノウハウを実現する予定です。
社用車EV化の課題は「EnneEV」で解決!
NTTグループでは2030年までに100%というEV化の目標に向けて、充電インフラの整備や「グリーン電力」への切替を行いながらEV化の取り組みを推進しています。これらの取り組みにより、温室効果ガスの削減やスマート充電によるコストの抑制を実現しています。
こうした社用車EV化の取り組みをサポートしているサービスがエネットの「EnneEV(エネーブ)」です。
EnneEV はEV充電インフラの導入支援や、スマート充電により電気料金上昇を最大限抑制するサービスです。これまでNTTアノードエナジーを通じてNTTグループ各社にEnneEVを提供しており、その豊富な支援実績とノウハウに基づいて、企業や自治体へのEV化を支援しています。
EnneEVの詳細については下記のページをご覧ください。
本記事を読んでEV導入にご興味を持った企業や自治体の方や、EnneEVのサービスについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらよりお問合せ・ご相談ください。